はじめに
VMware vMotion は、VMware の仮想化プラットフォーム vSphere の一部として提供されている、リアルタイムの仮想マシン移行技術です。その主な目的は、ハードウェアの全体的な使用効率を向上させ、ハードウェアの計画的なダウンタイム中も継続して仮想マシンを稼働させ、vSphere DRS(Distributed Resource Scheduler)を用いて仮想マシンの負荷を調整することです。
vMotion は「ダウンタイムなしのライブマイグレーション」を実行する能力で知られていますが、実際にはメモリへの Read/Write が停止される(静止点をとる)ため、微量のダウンタイムが発生する可能性があります。
vMotion の要件
vMotion を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
仮想マシン要件
- 仮想マシンは、内部 vSwitch(アップリンクアダプタがない vSwitch)に接続されていないこと。
- ローカルイメージがマウントされた仮想デバイス(CD-ROM 等)に接続されていないこと。
- CPU アフィニティが構成されていないこと。
- Raw Device Mapping(RDM)を使用している場合、移行先のホストがその RDM にアクセス可能であること。
移行元及び移行先ホストの要件
- 仮想マシンが使用するすべてのストレージを認識していること。
- ギガビットイーサネット以上のネットワークであること。
- 1Gbps のネットワークでは、vMotion で最大4台の仮想マシンを同時に移行可能。
- 10Gbps のネットワークでは、vMotion で最大8台の仮想マシンを同時に移行可能。
- 同じ物理ネットワークにアクセスできること。
- 移行元と移行先のホストの CPU 機能セットに互換性があること。
- 異なる CPU を使用している場合、EVC(Enhanced vMotion Compatibility)または互換性マスクを使用すること。
これらの要件は、仮想マシンが新しいホストへの移行時に一貫したパフォーマンスとネットワーク接続性を保つためのものです。適切に設定された vMotion は、適切なリソース管理と一貫したアプリケーションパフォーマンスを確保するために必要不可欠なツールとなっています。
また、新しいバージョンの vSphere では、vMotion の機能がさらに強化されており、仮想マシンの移行におけるダウンタイムが最小限に抑えられ、同時に実行できる移行の数が増えるなどの改善が見られます。これにより、より大規模な環境でのリソース管理が可能になり、更なる効率化が期待できます。
最新の vMotion の要件については、VMware 社の公式ドキュメンテーションを参照してください:
https://docs.vmware.com/jp/VMware-vSphere/7.0/com.vmware.vsphere.vcenterhost.doc/GUID-30FAA00F-D5F3-475D-820E-5D45517AC18E.html
VMware vMotion は、ITインフラストラクチャの管理と維持を大幅に簡素化します。効果的に利用するためには、最新の要件と制限を理解し、適切な計画と設定を行うことが重要です。
以上