Opus 5.5・Opus 5・Astra を比較検証|実データで記事提案を確認

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はじめに

Claude Opus 5.5 の概要編では、Opus 5 からの変更点、料金、effort、API 移行を整理しました。本記事はその続編です。MY TECH BLOG の検索・アクセスデータと同じ課題文を 3 つのモデルに渡し、「次に優先して取り組む記事を 3 本提案する」という依頼への回答を比較します。

AI に資料やデータを渡して分析させ、次の行動を提案してもらう場面は増えています。一方で、出てきた提案をどこまでそのまま使えるのか、どこを人が確認すべきなのかは判断に迷いやすい点です。本記事では、実際の回答と、原本データとの照合結果をもとにこの点を整理します。

この記事でわかること
  • Opus 5.5・Opus 5・GPT-6 Astra が同じデータから提案した記事候補の違い
  • 各回答が選定理由に使ったデータと比較の仕方
  • 回答中の代表的な数値を原本で照合した結果
  • AI の分析を記事企画に使う前に確認したい点

結論を先に述べます。共有された 3 モデルの回答では、最優先はいずれも FortiGate のアップグレードパス記事のリライトでした。一方、2 本目以降の候補と、優先順位の説明には違いが出ました。

最優先候補の主要指標は、3 モデルとも原本と一致しました。一方、関連クエリの合計には小さな不一致もありました。また、集計条件を明記しているかどうかや、アクセス指標から検索意図や低 CTR の原因を推測している箇所にも差があり、記事に着手する前に人が確認すべき点が残ります。

Opus 5.5・Opus 5・Astra に依頼した内容

本記事では、モデルの性能や料金の説明は扱いません。Opus 5.5 は概要編、ほかの 2 モデルは Claude Opus 5 の記事GPT-6 Astra の記事を参照してください。ここでは、比較の前提となる入力データと、記録から確認できた実行条件を示します。

使用したデータと期間

3 モデルには、次の 4 ファイルを同じ入力として渡しました(実施者の説明に基づきます)。ファイル名は Opus 5.5 の分析実行時に添付されたものです。

データファイル名内容対象期間
GSCgsc_page_queries.xlsxクエリ別とページ別の独立した集計(各 1,000 行)2026 年 6 月 21 日〜9 月 20 日
Bing(ページ別)bing_pages.csvページ別の表示回数・クリック数・平均掲載順位取得時点の直近 3 か月(開始日・終了日は不明)
Bing(クエリ別)bing_queries.csvクエリ別の表示回数・クリック数・平均掲載順位取得時点の直近 3 か月(開始日・終了日は不明)
GA4ga4_organic_landing_pages.csv参照元/メディア別のランディングページ2026 年 6 月 21 日〜9 月 20 日

GSC のクエリ別とページ別は、それぞれ独立した 1,000 行の出力で、クエリとページの対応表ではありません。Bing も同様に、クエリ別とページ別は別々の集計です。

確認できた実行条件

実行条件は、記録から確認できた範囲だけを記載します。記事執筆時の作業は、検証条件と分けて示します。

区分内容
3 モデル共通後述の同じプロンプトと、上表の 4 ファイルを入力(実施者の説明に基づく)。Web 検索の不使用はプロンプトで指示
Opus 5.5 の分析実行時の記録で確認できた条件claude.ai のプロジェクト内の会話(ブログの執筆ルールを設定済み)で、会話の最初の依頼として実行。分析中の処理は添付ファイルの集計のみで、Web 検索の実行なし
未記録の項目3 モデルの実施日・effort・再実行の有無。Astra と Opus 5 の利用サービス・画面、新規チャットかどうか、Web 検索の実際の利用有無
記事執筆時の作業(検証条件に含めない)分析後、同じ会話の続きで原本の再計算と概要編の公開確認を実施。公開確認には Web 検索を使用

このため、3 モデルの実行条件が同一だったとは確認できていません。各サービスの既定値から、今回の effort などの設定を推定することもしていません。

検証に使用したプロンプト

3 モデルには、次のプロンプトを使用しました。

添付した検索・アクセスデータを分析し、技術ブログ「MY TECH BLOG」で次に優先して取り組む記事を 3 本提案してください。
読者は企業の情報システム担当者、ネットワーク・インフラ・クラウド・セキュリティ分野の実務エンジニアです。目的は、読者に役立つ記事を通じて検索流入を増やすことです。新規記事と既存記事のリライトの両方から選んでください。
【データの条件】
・GSC と GA4 の対象期間は 2026 年 6 月 21 日〜9 月 20 日です。
・Bing は取得時点の直近 3 か月です。厳密な開始日・終了日は不明なため、GSC と同一期間とは扱わないでください。
・GSC の Excel はクエリ別とページ別の独立した集計です。両者の対応表ではなく、それぞれ 1,000 行の出力範囲です。
・Bing もクエリ別とページ別の独立した集計です。
・GA4 のランディングページが「(not set)」の行は、記事別の評価から除外してください。
・GA4 のエンゲージメント率は、ページが判明している行ですべて 100% のため、優先順位の根拠に使わないでください。セッション数を中心に、セッションあたりの平均エンゲージメント時間を補助として使ってください。
・検索のクリック数と GA4 のセッション数は別の指標として扱ってください。
【分析の依頼】
添付ファイルを実際に読み、数値を集計・照合してください。Web 検索は使わないでください。
表示回数や流入数だけでなく、検索意図、改善余地、読者に提供できる価値を踏まえて優先順位を付けてください。データから確認できる事実と、提案上の仮説を区別してください。
【出力形式】
最初に「最優先の 1 本と、その理由」を 200 字以内で説明してください。
続けて、次の列を持つ表で 3 本を提案してください。
・優先順位
・新規/リライト
・記事タイトル案(リライトの場合は対象 URL も)
・狙う検索意図
・根拠となる具体的な数値と出典ファイル
・読者に提供する価値
最後に、判断上の限界や追加確認事項を 3 点以内で示してください。
根拠のない数値や、確認できないクエリとページの対応関係は作らないでください。このサイトのデータを、世の中全体の IT 需要とは断定しないでください。

3 モデルの記事提案を比較

3 モデルの回答から、提案された 3 本を順番どおりに並べると次のとおりです。

モデル第 1 候補第 2 候補第 3 候補
GPT-6 AstraFortiGate アップグレードパスのリライトサブネットマスク計算のリライトVDI クローン方式比較の新規記事(重複確認が前提)
Claude Opus 5FortiGate アップグレードパスのリライトインスタントクローン記事のリライトFortiGate・Microsoft 365 のローカルブレイクアウト新規記事
Claude Opus 5.5FortiGate アップグレードパスのリライトSASE・SSE 記事のリライトHorizon クローン方式比較の新規記事

この表は各モデルの提案順位であり、モデル自体の優劣を示す順位ではありません。

今回の比較は、各モデル 1 回分の回答に基づいています。再実行の記録はないため、同じ依頼でも実行ごとに提案が変わる可能性があります。

共通の第 1 候補は FortiGate アップグレードパスのリライト

3 モデルとも、第 1 候補に FortiGate のアップグレードパス記事のリライトを挙げました。根拠として共通して示したのは、GSC のページ別集計で表示 6,894 回、クリック 76 回、CTR 約 1.10%、平均掲載順位 8.84 という数値です。3 モデルとも、Bing のページ別集計で同ページが表示 8,305 回、クリック 670 回であることにも触れています。

違いが出たのは、この CTR を何と比べたかです。Opus 5 と Opus 5.5 は、同じサイト内で掲載順位が近いページの CTR 中央値と比べ、改善余地を示しました。Astra の回答では、こうした比較基準は使わず、更新経路の確認から作業判断までを具体化するという記事の方向性を中心に説明しています。

2 本目以降は重視したデータで分かれた

2 本目以降の候補は、どの検索エンジンのデータを根拠の中心にしたかで分かれました。

モデル候補回答が示した主な根拠
GPT-6 Astraサブネットマスク計算のリライト(第 2 候補)Bing のページ別で表示 15,552 回・クリック 171 回、クエリ「サブネットマスク 計算」が表示 7,656 回・クリック 16 回
Claude Opus 5.5SASE・SSE 記事のリライト(第 2 候補)Bing のページ別で表示 9,212 回・クリック 99 回、SASE 関連 42 クエリの合計が表示 11,211 回・クリック 89 回
Claude Opus 5ローカルブレイクアウトの新規記事(第 3 候補)GSC のクエリ別で関連 5 クエリの合計が表示 990 回・クリック 0 回、GSC のページ別の出力に該当する専用 URL が見当たらないこと

Astra と Opus 5.5 は、Bing で表示回数が多い一方でクリックが少ないページを 2 本目に選びました。Opus 5 は、GSC のクエリ別データで表示のあるテーマについて、出力されたページ一覧に専用 URL が見当たらないことを根拠に新規記事を提案しています。どの候補も、優先順位の判断材料として使ったデータの範囲が異なるため、提案の違いがそのまま分析の正誤を示すわけではありません。

VDI クローン方式は 3 モデルとも取り上げた

順位は異なりますが、フルクローン・リンククローン・インスタントクローンの比較という検索意図は、3 モデルすべてが候補に入れました。判断が分かれたのは、既存の /vmware-horizon-instant-clone/ を書き直すか、比較記事を新設するかです。

  • Astra は新規記事とし、既存本文との重複確認を前提条件にしました。
  • Opus 5 は既存のインスタントクローン記事のリライトとして提案しました。
  • Opus 5.5 は新規記事とし、確認結果によってはリライトへ切り替える選択肢を追加確認事項に挙げました。

新規かリライトかは、既存記事の本文を読まなければ判断できません。3 モデルとも本文は受け取っていないため、この点は後述する着手前の確認に委ねる部分です。

回答の根拠を確認して分かったこと

ここでは、結論に関わる代表的な箇所に絞って、回答の根拠を確認します。以下では、AI が回答に出力した数値と、執筆時に原本ファイルを Python で再計算した数値を分けて示します。原本は、検証に使用した 4 ファイルです。

各回答の選定理由(短い抜粋)

選定理由の書き方には、今回の回答では次のような違いがありました。

参考: GPT-6 Astra の回答(第 3 候補の区分)
「新規(既存本文との重複確認が前提)」

Astra の回答は、候補の区分そのものに前提条件を書き込んでいます。限界の項目でも「低 CTR の原因は未確定です。」と明記しており、改善効果の見込みは数値で示していません。

参考: Claude Opus 5 の回答(最優先の理由)
「Bingでは同URLがCTR 8.07%で機能しており需要と記事の適合は確認済み。」

Opus 5 の回答は、Bing の CTR から GSC 側の改善余地を読み取っています。第 1 候補では、比較対象の中央値まで CTR を戻した場合の増加クリック数(約 +140 クリック)も、仮説として示しました。

参考: Claude Opus 5.5 の回答(最優先の理由)
「Google での見せ方と検索意図のずれを直す余地が最も大きいと判断しました。」

Opus 5.5 の回答は、比較対象の抽出条件(掲載順位 7〜11 位・表示 1,000 回以上・39 ページ)を示したうえで、CTR の低さを「見せ方と検索意図のずれ」という仮説で説明しています。

代表的な数値を原本で照合

回答によって値が異なっていた代表的な箇所を、原本で再計算しました。

確認項目回答での記載(AI の出力)執筆時の再計算(原本)見方
FortiGate 記事の GSC 指標3 モデルとも表示 6,894 回・クリック 76 回・CTR 約 1.10%・平均掲載順位 8.84一致共通の第 1 候補の根拠は原本どおり
比較対象の CTR 中央値Opus 5 は 3.16%(順位 7〜11 位帯、表示回数の条件は記載なし)、Opus 5.5 は 3.65%(7〜11 位・表示 1,000 回以上・39 ページ)3.65% は、順位 7〜11 位・表示 1,000 回以上に加え、#index_id 付きの行を除外すると再現(Opus 5.5 の回答には除外条件の記載なし)。3.16% も別の条件で同じ値を再現できる数値を再現できても、元の抽出条件を特定できたわけではない。値の違いだけで誤りとは判定できない
GSC ページ別のクリック合計Opus 5 は 8,315、Opus 5.5 は 8,3181,000 行すべてで 8,318、#index_id 付きの行を除いた 424 行で 8,315#index_id 付きの行を除外するかどうかで両方の値を再現できた。ただし、元の処理手順は回答からは確認できない
Bing のページ別とクエリ別の表示合計Opus 5 はページ別 394,623 回、クエリ別 77,871 回として「内部整合も取れていない」と記載ページ別 394,623 回。クエリ別は、引用符が崩れた 1 行を読み込むと 77,872 回独立した集計の合計が異なるだけでは、不整合とは断定できない
ローカルブレイクアウト関連 5 クエリの表示合計Opus 5 は 990 回988 回(255+223+214+159+137)回答の合計とは一致しない。差は 2 回で、原因は記録から確認できないが、この差だけで候補選定が不適切とは評価しない
クローン関連クエリの表示合計Astra は 3 クエリで 716 回、Opus 5 は 24 語で 4,688 回、Opus 5.5 は 22 クエリで 4,615 回「クローン」または「horizon」を含む 24 クエリで 4,688 回、「クローン」を含む 22 クエリで 4,615 回。Astra の 3 クエリの合計も一致集計範囲が違うため、値の大小で比較しない

このように、値の違いの一部は抽出条件を変えると再現できましたが、各モデルが実際に行った処理までは回答から確認できません。回答に抽出条件が書かれていない数値は、原本で再現できるかを確認してから企画の根拠に使うことをおすすめします。

アクセス指標から推測している箇所

3 モデルとも、事実と仮説を区別して書く指示には沿っていました。ただし、アクセス指標だけでは確定できない内容に踏み込んだ記述もありました。

検索意図への適合

Opus 5 は Bing の CTR から「需要と記事の適合は確認済み」としました。CTR は結果の指標であり、記事が検索意図に合っていることまでは確定できません。今回の回答の中では、アクセス指標から最も踏み込んだ記述です。

需要の手掛かり

Opus 5.5 は、Bing での同ページの実績から「テーマへの需要自体はあります」と述べました。検索実績は、このサイトでの需要の手掛かりにはなります。ただし、世の中全体の需要や、記事が意図に合っているかを示すものではありません。

低 CTR の原因

Opus 5.5 は FortiGate 記事や SASE 記事の低 CTR を、タイトルや冒頭と検索意図のずれで説明しました。仮説と明記されていますが、検索結果での見え方や本文は確認していません。

既存記事の内容

インスタントクローン記事について、Opus 5 は「記事の内容自体は intent に合っており」、Opus 5.5 は「インスタントクローン単体の解説」と推測しています。どちらも本文を受け取っていない状態での推測です。

流入増加の見込み

Opus 5 の約 +140 クリックは、比較対象の中央値を当てはめた仮説値です。リライト後の CTR や掲載順位を予測したものではありません。

表示の発生元

Opus 5.5 は、掲載順位が低くクリック 0 で表示の多いクエリ群について、人の検索によるものか判断できないと述べました。順位が低く、表示が多く、クリックが少ないことだけでは、人以外による表示を疑う根拠にはなりません。

AI の分析を記事企画に使うときの確認点

今回の回答からは、AI の分析は候補を絞り込む段階では役立つ一方、採用を決める前に人が確認すべき点が残ることが分かりました。

候補を絞る用途での有用性

3 モデルの第 1 候補は一致し、その根拠となった主要指標は原本と一致しました。VDI クローン方式の比較も 3 モデルが共通して取り上げています。また、クエリとページを対応付けないというプロンプトの条件には、3 モデルとも回答中で言及していました。多数のページから検討対象を絞る最初の段階では、複数の回答で共通した候補を優先的に検討する使い方が考えられます。

一方、2 本目以降の候補は回答ごとに異なりました。1 つの回答の 3 本をそのまま採用するのではなく、候補の一覧として扱い、次の確認を経てから決めることをおすすめします。

着手前に確認すること

手順
原本で根拠の数値を再計算する

回答が示した数値のうち、採否に関わるものを原本で再計算します。中央値や合計は、抽出条件(順位帯、表示回数の下限、#index_id 付きの行の扱いなど)を書き出してから計算すると、回答との差の理由を確認しやすくなります。

手順
対象ページで絞り込んだクエリを確認する

今回の GSC データはクエリ別とページ別が独立しているため、あるクエリがどのページに表示されたかは確認できません。Search Console でページを指定したクエリ一覧を確認し、回答が想定したクエリで実際に表示されているかを確かめます。

手順
既存記事の本文と重複を確認する

新規記事の候補は、既存記事と検索意図が重ならないかを本文で確認します。今回の VDI クローン方式のように、新規にするかリライトにするかは、この確認の結果で決まります。

手順
検索結果での見え方と一次情報を確認する

低 CTR の原因を仮説どおりと判断する前に、実際の検索結果で表示されるタイトルや説明文、競合する公式情報を確認します。記事に書く製品情報は、執筆時に一次情報で裏付けを取ります。

まとめ

同じ検索・アクセスデータとプロンプトを 3 モデルに渡したところ、最優先の記事候補は一致し、2 本目以降と説明の仕方に違いが出ました。今回の結果は 1 回分の回答の比較であり、AI の提案は候補を絞る材料として、原本と既存記事の確認を経て使うのが適していると考えます。

  • 3 モデルとも最優先は FortiGate アップグレードパス記事のリライトだった。
  • 2 本目以降はサブネット、SASE、ローカルブレイクアウトなどに分かれた。
  • VDI クローン方式は 3 モデルとも挙げたが、新規かリライトかで判断が異なった。
  • 最優先候補の主要指標は一致し、関連クエリの合計には小さな不一致もあった。
  • 低 CTR の原因や検索意図への適合は、アクセス指標だけでは確定できない。
  • 着手前に原本の再計算、ページ別クエリ、既存本文の確認をおすすめします。
  • 今回の結果は、モデル全般の優劣を示すものではない。

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

関西を拠点に活動する、現役インフラエンジニア。経験20年超。

大手通信キャリアにて、中〜大規模インフラ(ネットワーク・サーバ・クラウド・セキュリティ)の設計・構築およびプロジェクトマネジメントに従事。現場で直面した技術課題への対処や、最新の脆弱性情報への実務対応を、一次情報として発信しています。

保有資格
CCIE Lifetime Emeritus(取得から20年以上)/ VCAP-DCA / Azure Solutions Architect Expert

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