Sakana Fugu の料金|Opus 4.8・GPT-5.6 とのコスト比較

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はじめに

Sakana Fugu の料金は、単価表を見るだけでは判断しにくい構造をしています。内部で複数のフロンティアモデルが連携して動作するため、「1 リクエストあたりにどれだけのトークンが消費されるか」が、単体モデルの API と同じ感覚では読めないためです。加えて、従量課金と月額サブスクリプションで課金の考え方が大きく異なり、月額プランの利用枠はトークン数で公開されていません。

この記事では、公式の料金ページと FAQ で確認できる内容を整理したうえで、他社モデルとの単価比較と、実効コストを見誤らないための確認点をまとめます。

この記事でわかること
  • トークンプランと月額プランの構造の違い
  • Fugu・Fugu Ultra・Fugu Cyber の単価と、272K トークン超での段階制
  • Claude Opus 4.8 や GPT-5.6 など他社モデルとの単価の位置関係
  • 単価が同じでも実効コストが変わる理由
  • 用途別のプラン選択と、見積もり時に確認したい項目

結論を先に述べると、Fugu Ultra の単価は 100 万トークンあたり入力 $5 / 出力 $30 で、GPT-5.6 Sol と同水準、Claude Opus 4.8 の出力 $25 よりやや高いという位置づけです。単価そのものは突出して高いわけではありませんが、複数エージェントが動作する構造上、内部の連携処理で消費されたトークンも課金対象となるため、単価の比較だけで判断しないことをおすすめします。 なお公式も、本格的なワークロードにはトークンプラン(従量課金)を推奨しています。

Sakana Fugu の仕組みそのものについては、関連記事『Sakana Fugu とは|Opus 4.8 を超える国産 AI の実力を検証』で整理しています。本記事は料金とコストに絞って解説します。

Sakana Fugu の 2 つの料金プラン

Sakana Fugu には、従量課金の「トークンプラン」と、月額固定の「サブスクリプションプラン」の 2 つが用意されています。どちらのプランでも Fugu と Fugu Ultra を利用できますが、Fugu Cyber はトークンプラン限定です。

トークンプラン(従量課金)

本番ワークロードや、利用量の変動が大きい用途を想定したプランです。公式は、高負荷で信頼性が求められる用途にはこちらを推奨しています。

課金の考え方はモデルによって異なります。まず Fugu については、稼働するエージェントが 1 つの場合、その基盤モデルの標準レートのみが適用されます。複数のエージェントが稼働する場合も、各モデルの料金が積み上がることはありません。

参考: Pricing Plan(Sakana Fugu 公式)
“We never stack model fees”
(モデル料金を積み上げることはありません)
https://sakana.ai/fugu/

公式 FAQ では、この仕組みが例示されています。プールにモデル A のみが含まれていればモデル A のレート、モデル A・B・C が含まれていても支払いは 1 つのレート、つまり A・B・C のうち最上位モデルのレートだけです。エージェントを増やしても請求が積算されるわけではなく、そのプール構成に適用される単一のレートが決まるという設計です。 逆に言えば、除外設定で高価なモデルをプールから外せば、適用されるレート自体を下げられる可能性があります。

一方、Fugu Ultra と Fugu Cyber は固定単価が公表されています。100 万トークンあたりの金額は次のとおりです。

モデル入力出力キャッシュ入力
Fugu Ultra(fugu-ultra-v1.1 / v1.0$5$30$0.50
Fugu Ultra(コンテキスト 272K 超)$10$45$1.00
Fugu Cyber(fugu-cyber-v1.0$6$36$0.60
Fugu Cyber(コンテキスト 272K 超)$12$54$1.20

押さえておきたい点が 3 つあります。

1 つ目は、272K トークンを境に単価が切り替わる段階制です。入力とキャッシュ入力は 2 倍、出力は 1.5 倍になります。大規模なコードベースの読み込みや、複数ドキュメントを横断する調査では、閾値を超えた時点でコストの伸び方が変わります。

2 つ目は、Fugu Cyber が Fugu Ultra の約 1.2 倍の単価である点です。セキュリティ用途で常用する場合、この差は無視できない規模になります。

3 つ目は、キャッシュ入力の単価が通常入力の 10 分の 1 に設定されている点です。共通のシステムプロンプトや参照ドキュメントを繰り返し使う構成では、キャッシュヒット率がコストを大きく左右します。

サブスクリプションプラン(月額)

日常的な手作業での利用を想定したプランで、3 つのティアが用意されています。

プラン月額利用枠想定用途
Standard$20標準低頻度の API 利用、小規模な実験、個人ワークフローでの試用
Pro$100Standard の 10 倍週に数回の集中したコーディング・レビュー・調査
Max$200Standard の 20 倍長時間・高負荷のタスクを継続的に扱うパワーユーザー

見積もりの観点で注意したいのは、利用枠が「Standard の 10 倍・20 倍」という相対値でのみ示され、トークン数などの絶対値が公開されていない点です。 そのため、月額プランでどれだけの作業量をこなせるかを事前に計算することはできません。二次情報では Max の倍率を 30 倍と記載しているものも見られますが、公式ページの表記は 20 倍です。

また、Fugu Cyber は月額プランには含まれず、利用にはトークンプランへの加入が必要です。セキュリティ用途を検討している場合は、この点が選択の分岐点になります。

なお、公式は 2026 年 7 月 31 日までに登録した場合、加入したプランの 2 か月目を無料とする期間限定キャンペーンを案内しています。期限が迫っているため、検討中の場合は公式ページで最新の条件を確認することをおすすめします。

他社フロンティアモデルとの単価比較

Fugu Ultra の単価が高いのか安いのかを判断するため、主要モデルの公表単価と並べて確認します。

100 万トークンあたりの単価一覧

各社が公表している標準レート(2026 年 7 月時点)は次のとおりです。

モデル入力出力備考
Claude Fable 5$10$50Mythos クラス
Fugu Cyber$6$36従量課金限定・審査制
Fugu Ultra$5$30272K 超で $10 / $45
GPT-5.6 Sol$5$30OpenAI のフラッグシップ
Claude Opus 4.8$5$25100 万トークンまで同一単価
Kimi K3$3$15オープンウェイト
GPT-5.6 Terra$2.50$15バランス型
Gemini 3.6 Flash$1.50$7.50効率重視
GPT-5.6 Luna$1$6低コスト型

Fugu Ultra の $5 / $30 は、GPT-5.6 Sol とまったく同じ単価です。 Claude Opus 4.8 と比べると入力は同額、出力が $5 高いという位置関係になります。フロンティアクラスの中では標準的な水準であり、単価表を見る限り「国産だから割高」という状況ではありません。GPT-5.6 の 3 ティア構成とキャッシュ課金の詳細は、関連記事『GPT-5.6 リリース|Sol・Terra・Luna の違いとインフラ業務での使い分け』で整理しています。

一方で、単価表から読み取れる注意点が 2 つあります。

1 つ目は、長大なコンテキストを扱う場合の差です。Fugu Ultra は 272K トークンを超えると入力が 2 倍、出力が 1.5 倍になりますが、Claude Opus 4.8 は 100 万トークンのコンテキストでも標準単価が適用され、長コンテキストの追加料金がありません。大規模なコードベースや長大なドキュメントを一度に読ませる用途では、この設計差が実際の請求額に直接効いてきます。

2 つ目は、コスト効率を重視する場合の選択肢です。Kimi K3 のようなオープンウェイトモデルは同等クラスの性能を約半分の単価で提供しており、データの取り扱い条件を許容できる用途であれば有力な選択肢になります。ただし利用形態によってデータの扱いが大きく異なるため、この点は関連記事『Kimi K3 のセキュリティリスクと対処|Claude・GPT との性能比較も検証』で整理した観点をあわせて確認することをおすすめします。

単価が同じでも実効コストが変わる理由

ここからが、Sakana Fugu のコストを考えるうえで最も重要な部分です。単価が GPT-5.6 Sol と同じであっても、同じタスクの請求額が同じになるとは限りません。 内部で動作するエージェント同士のやり取りに使われたトークンも、課金対象として計上されるためです。

オーケストレーション分のトークンも課金される

Fugu Ultra と Fugu Cyber は、レスポンスの usage フィールドで、ユーザーから見える処理と内部のオーケストレーション処理を分けて報告します。

参考: Pricing(Sakana AI Console)
“they represent real token usage outside of the input and output tokens”
(それらは入力・出力トークンとは別の、実際のトークン使用量を表す)
https://console.sakana.ai/pricing

公式は、これらのトークンが token_details フィールドに格納されるものの、入力・出力トークンとは別枠の実使用量であり、リクエストの最終的な料金に計上されると明記しています。単価は通常の入力・出力トークンと同じです。

レスポンスに含まれるフィールドは次の構造です。

{
  "usage": {
    "input_tokens": 120,
    "output_tokens": 80,
    "total_tokens": 200,
    "input_tokens_details": {
      "cached_tokens": 0,
      "orchestration_input_tokens": 0,
      "orchestration_input_cached_tokens": 0
    },
    "output_tokens_details": {
      "orchestration_output_tokens": 0
    }
  }
}
フィールド内容
input_tokens最初のモデルに送られたユーザー入力のトークン
input_tokens_details.cached_tokensユーザー入力のうちキャッシュされた入力トークン
input_tokens_details.orchestration_input_tokensオーケストレーションに使われた入力トークンの合計
input_tokens_details.orchestration_input_cached_tokensオーケストレーション由来のキャッシュ入力トークン
output_tokens最終出力のトークン
output_tokens_details.orchestration_output_tokensオーケストレーションの出力トークン
total_tokensオーケストレーションを含むリクエスト全体のトークン数

コスト試算の観点で重要なのは、input_tokensoutput_tokensだけを合計しても実際の請求額にならないという点です。 total_tokens はオーケストレーション分を含んだ値であり、見積もりにはこちらを使う必要があります。単体モデルの API と同じ計算式を流用していると、長時間タスクほど実際の請求額との乖離が大きくなります。

監視すべきはオーケストレーション比率

この構造を踏まえると、運用時に見ておきたい指標が 1 つ増えます。リクエストごとの「オーケストレーション分が全体の何割を占めるか」という比率です。

同じプロンプトでも、Sakana Fugu が単純なタスクと判断すれば内部処理は少なく済み、複雑と判断すれば多数のエージェントを動員します。ルーティングの内容は非公開のため、事前にコストを正確に予測することは構造的にできません。 その代わり、公式はリクエストごとにトークン使用量と対応するコストを報告する仕組みを用意しており、支出をリアルタイムで把握できるとしています。

実務的な対応としては、次の 3 点が現実的です。

  • リクエストごとの usage を記録し、オーケストレーション比率が突出して高いタスクを特定する
  • 想定より内部処理が膨らむタスクは、Fugu Ultra から Fugu へ切り替えて比較する
  • API 側に処理を止める仕組みはないため、コスト上限の制御は自前のコードで実装する

Fugu の場合は「最上位モデル 1 レート」

なお、標準の Fugu についてはやや事情が異なります。前述のとおり、複数エージェントが稼働してもモデル料金は積み上がらず、関与する最上位モデルのレートが 1 つだけ適用されます。

この仕組みは、除外設定と組み合わせると意味を持ちます。プールから高価なモデルを外せば、適用されるレート自体を下げられる可能性があるためです。データやコンプライアンス上の要件がなくても、コスト最適化の手段として除外設定を検討する余地があります。

見積もりを外さないための確認点

ここまでの内容を踏まえ、コスト試算やプラン検討の際に確認したい項目を整理します。

272K トークンの閾値を意識する

Fugu Ultra と Fugu Cyber は、コンテキストが 272K トークンを超えると単価が切り替わります。入力とキャッシュ入力は 2 倍、出力は 1.5 倍です。

注意したいのは、この閾値がリクエスト単位で効いてくる点です。長いセッションを継続すると会話履歴が積み上がり、意図せず閾値を超える場合があります。大きなファイルを扱う作業では、必要な範囲だけを渡す、セッションを分割する、といった運用でコストの伸び方を抑えられます。

キャッシュ入力を前提に設計する

キャッシュ入力の単価は通常入力の 10 分の 1 です(Fugu Ultra で $0.50 対 $5)。共通のシステムプロンプトや参照ドキュメントを繰り返し使う構成では、キャッシュヒット率が実効コストを大きく左右します。

あわせて把握しておきたいのが、オーケストレーション由来のキャッシュ入力も個別に報告される点です。 orchestration_input_cached_tokens フィールドがそれにあたり、内部処理でもキャッシュが効いているかどうかを確認できます。

従量課金は処理の優先度が高い

コスト以外の観点として、公式は従量課金のトークンが月額プランのトークンより高い優先度で処理されると明記しています。

参考: Pricing(Sakana AI Console)
“Consumption-based tokens are served at higher priority than monthly plan tokens.”
(従量課金のトークンは、月額プランのトークンより高い優先度で処理されます)
https://console.sakana.ai/pricing

月額プランは単に安価な選択肢ではなく、処理の優先度でも差がつく設計です。 応答時間が業務要件に含まれる用途では、単価だけでなくこの点も判断材料になります。

見積もり時のチェックリスト

試算にあたって確認したい項目をまとめます。

確認項目内容
トークンの数え方input_tokensoutput_tokens だけでなく、total_tokens で試算する
コンテキスト長272K トークンを超えるリクエストがどの程度発生するか
キャッシュ率共通プロンプトをキャッシュに載せられる構成になっているか
上限制御API 側に停止機構はないため、自前でコスト上限を実装しているか
通貨料金は米ドル建て。為替と決済手数料は利用者側の負担
優先度応答時間が要件に含まれる場合、従量課金を選ぶ理由になる

どちらのプランを選ぶか

用途別に、現実的な選択の考え方を整理します。公式自身も、本格的なワークロードには従量課金プランを推奨しています。

用途推奨理由
まず試してみたい、個人の日常利用Standard($20)最小の固定費で Fugu と Fugu Ultra の両方を試せる
週に数回の集中したコーディング・調査Pro($100)Standard の 10 倍の利用枠。頻度が読める作業向け
長時間タスクを継続的に回すMax($200)または従量課金利用量が読めない場合は従量課金のほうが無駄が出にくい
本番ワークロード、社内ツールへの組み込み従量課金処理優先度が高く、利用量の変動に対応しやすい
セキュリティ業務(Fugu Cyber)従量課金(申請が必要)月額プランでは利用できず、別途アクセス申請が必要

判断の分かれ目は、利用量が事前に読めるかどうかです。読める場合は月額プランで固定費に収めるほうが管理しやすく、読めない場合や利用が集中する時期がある場合は従量課金のほうが無駄が出にくくなります。月額プランの利用枠がトークン数で公開されていない以上、まず Standard で 1 か月使って実際の消費傾向を把握し、そのうえで上位プランか従量課金かを判断する進め方が堅実です。

Fugu Cyber はアクセス申請が必要

セキュリティ用途で Fugu Cyber を検討している場合、料金以外の条件があります。従量課金プラン限定であることに加えて、利用目的を記載した申請フォームの提出と、Sakana AI 側の審査・承認が必要です。API キーの「Billing mode」を「Pay as you go」に設定しておく必要もあります。

サイバー能力を持つモデルを審査を通過した利用者に限定して提供する方式は、他社にも共通して見られる運用です。導入を検討する場合は、審査に要する期間も計画に織り込んでおくことをおすすめします。

なお、実際の接続手順やモデル ID の指定方法については、関連記事『Sakana Fugu の使い方|Codex 連携と API 設定の手順』で解説しています。

まとめ

Sakana Fugu の単価は、Fugu Ultra が入力 $5 / 出力 $30 と GPT-5.6 Sol と同水準であり、フロンティアクラスとして標準的な位置にあります。一方で、内部のオーケストレーションに使われたトークンも同じレートで課金されるため、単価表だけを見て単体モデルと比較すると実効コストを見誤ります。リクエストごとの使用量が報告される仕組みを活用し、自社のワークロードで実測してから判断することをおすすめします。

  • Fugu Ultra は入力 $5 / 出力 $30、272K 超で $10 / $45 に切り替わる段階制
  • Fugu Cyber は $6 / $36 で、従量課金プランとアクセス申請が前提
  • 月額は Standard $20、Pro $100(10 倍)、Max $200(20 倍)の 3 段階
  • 月額プランの利用枠はトークン数で公開されておらず事前計算はできない
  • オーケストレーション分のトークンも同レートで課金対象になる
  • 試算には total_tokens を用い、リクエスト単位で使用量を記録する
  • 従量課金のトークンは月額プランより高い優先度で処理される

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

関西を拠点に活動する、現役インフラエンジニア。経験20年超。

大手通信キャリアにて、中〜大規模インフラ(ネットワーク・サーバ・クラウド・セキュリティ)の設計・構築およびプロジェクトマネジメントに従事。現場で直面した技術課題への対処や、最新の脆弱性情報への実務対応を、一次情報として発信しています。

保有資格
CCIE Lifetime Emeritus(取得から20年以上)/ VCAP-DCA / Azure Solutions Architect Expert

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