NEC IX の BGP 設定手順|router bgp と prefix-list の基本

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目次

はじめに

NEC IX(UNIVERGE IX)シリーズの BGP は、router bgp から設定する Cisco IOS に近い体系です。ただし「似ている」だけで、Cisco の設定をそのまま流用すると差異でつまずきます。たとえば IX の network コマンドは CIDR 表記(network 1.1.1.0/24)で指定し、経路フィルタの distribute-list はアクセスリストではなくプレフィックスリストを参照します。また、IPv6(BGP4+)には対応せず、ルートリフレクタやコミュニティなど一部機能はバージョンに依存します。

本記事では、NEC IX(UNIVERGE IX)を対象に、eBGP の確立から経路広告、フィルタ、確認までの設定手順を、公式リファレンスに沿って整理します。

この記事でわかること
  • router bgp / neighbor / network による eBGP の基本設定
  • Cisco IOS との構文の違い(CIDR 表記、distribute-list の参照先など)
  • ip prefix-listdistribute-list による経路フィルタリング
  • iBGP・ルートリフレクタ・コミュニティのバージョン依存
  • show ip bgp 系コマンドによる確認と切り分け

結論を先に示すと、IX の BGP は router bgp でプロセスを起動し、address-family ipv4 unicast の配下で network(CIDR 表記)により経路を広告します。フィルタは ip prefix-list を定義し、ネイバーに distribute-list で適用します。IPv6 の BGP(BGP4+)には非対応で、ルートリフレクタやコミュニティ、4 バイト AS の扱いはソフトウェアバージョンによって差があるため、公式の仕様値を確認しながら進めます。

BGP の基礎概念(AS、eBGP / iBGP、経路選択)は、『BGP とは|eBGP と iBGP の違いと経路選択の基礎』で解説しています。本記事は NEC IX の設定手順に絞ります。

NEC IX BGP 設定の全体像(4 要素)

BGP 設定の骨格は「AS 番号・ネイバー・広告経路・フィルタ」の 4 要素です。NEC IX ではそれぞれ次のコマンドが対応します。

要素NEC IX のコマンド
AS 番号router bgp <AS番号>
ネイバーneighbor <対向IP> remote-as <対向AS>
広告経路address-family ipv4 unicast 配下の network <prefix>/<長さ>
フィルタip prefix-listneighbor <対向IP> distribute-list <名前> in / out で適用

基本的な eBGP の設定は、次のような骨格になります。

router bgp 65001
  neighbor 10.1.1.1 remote-as 65000
  address-family ipv4 unicast
    network 1.1.1.0/24

neighbor … remote-as で指定する AS が自局の router bgp の AS と異なれば eBGP、同じであれば iBGP になります。Cisco IOS と異なり、network はサブネットマスクを別指定せず、CIDR 表記(1.1.1.0/24)でプレフィックス長まで一度に指定する点が特徴です。各要素の詳細は次のセクションから順に見ていきます(公式: NEC IX-R/IX-V 設定事例集 https://support.necplatforms.co.jp/ix-nrv/manual/ex/Section1/11_bgp.html )。

eBGP の基本設定

異なる AS の機器と eBGP を確立する手順を見ていきます。

router bgp と neighbor でセッションを張る

router bgp で BGP プロセスを起動し、neighbor … remote-as でネイバーを定義します。

router bgp 65001
  neighbor 10.1.1.1 remote-as 65000

remote-as が自局と異なるため、これは eBGP です。ネイバー単位では、直結でない eBGP 向けの ebgp-multihop、送信元アドレスを固定する update-source、TCP MD5 認証の password、保持時間を調整する timers などを指定できます。ループバック経由でピアを張る場合は update-source を併用します。

router bgp 65001
  neighbor 10.1.1.1 remote-as 65000
  neighbor 10.1.1.1 ebgp-multihop 2

address-family ipv4 unicast で経路を広告する

広告する経路は、address-family ipv4 unicast の配下で network により指定します。

router bgp 65001
  neighbor 10.1.1.1 remote-as 65000
  address-family ipv4 unicast
    network 1.1.1.0/24

network で広告できるのは、ルーティングテーブルに載っている経路だけです。直結・スタティック・IGP 学習のいずれかで、指定したプレフィックスが存在している必要があります。複数経路をまとめて載せる場合は redistribute(ospf / static / connected)を使い、iBGP で学習した経路を IGP へ再配送する場合は redistribute-internal を併用します(既定では iBGP 経路は IGP へ再配送されません)

Cisco との構文の違い

NEC IX は Cisco IOS に似ていますが、流用すると差異でつまずく箇所があります。主な違いを整理します。

項目Cisco IOSNEC IX
network の指定network <IP> mask <マスク>network <prefix>/<長さ>(CIDR)
プレフィックスリストの適用neighbor <IP> prefix-list <名> in/outneighbor <IP> distribute-list <名> in/out
distribute-list の参照先アクセスリストプレフィックスリスト
アドレスファミリーIPv4 / IPv6 / VPNv4 など複数ipv4 unicast のみ(IPv6 / BGP4+ 非対応)

とくに注意したいのが、プレフィックスリストの適用方法です。Cisco では prefix-list キーワードで適用しますが、NEC IX ではプレフィックスリストを distribute-list キーワードで適用します。 Cisco の感覚で neighbor … prefix-list と入力しても通らないため、IX では distribute-list を使う点を押さえておきます。具体的なフィルタ設定は次のセクションで扱います(公式: NEC UNIVERGE IX BGP4 FAQ https://jpn.nec.com/univerge/ix/faq/bgp4.html

経路フィルタリング(prefix-list / distribute-list / route-map)

送受信する経路の絞り込みは、プレフィックスリストを定義し、ネイバーに distribute-list で適用します。属性の操作には route-map を使います。

プレフィックスリストで経路を絞り込む

まず ip prefix-list でフィルタを定義します。シーケンス番号順に評価され、permit/deny で許可・拒否を指定します。

ip prefix-list pref-in 10 deny 10.0.1.0/24
ip prefix-list pref-in 20 permit any

定義したプレフィックスリストは、address-family ipv4 unicast の配下で neighbor … distribute-list により方向(in/out)を指定して適用します。

router bgp 65001
  address-family ipv4 unicast
    neighbor 10.1.1.1 distribute-list pref-in in

参考: UNIVERGE IX BGP4 FAQ(NEC)
フィルタリングする経路をプレフィックスリスト(ip prefix-list コマンド)で指定し、BGP コンフィグモードで以下のコマンドに関連付けます。
https://jpn.nec.com/univerge/ix/faq/bgp4.html

この例では、10.0.1.0/24 を拒否し、それ以外(permit any)を許可する受信フィルタを適用しています。プレフィックスリストは末尾で暗黙的に拒否されるため、許可したい経路は明示します。

route-map で属性を操作する

LOCAL_PREF や MED などの属性を操作する場合は route-map を使います。set で属性を変更し、neighbor … route-map で方向を指定して適用します。

route-map set-lp permit 10
  set local-preference 200
!
router bgp 65001
  address-family ipv4 unicast
    neighbor 10.1.1.1 route-map set-lp in

出方向は LOCAL_PREF、入方向は MED や AS-PATH の操作で制御するのが基本です。操作できるパス属性はバージョンにより異なるため、公式の仕様値を確認します。

iBGP とルートリフレクタ(バージョン依存)

iBGP と next-hop-self

iBGP は remote-as に自局と同じ AS を指定します。eBGP で学習した経路を iBGP へ渡すルーターでは、address-family ipv4 unicast の配下で next-hop-self を設定し、NEXT-HOP を自分のアドレスに書き換えます。

router bgp 65001
  neighbor 2.2.2.2 remote-as 65001
  address-family ipv4 unicast
    neighbor 2.2.2.2 next-hop-self

ルートリフレクタとコミュニティ(対応バージョンの確認)

iBGP の再広告制約を解消するルートリフレクタは、RR 側のネイバーに route-reflector-client を指定します。NEC の公式情報では、ルートリフレクションのクライアント側は全機種で利用できるとされていますが、RR サーバー機能やコミュニティ属性、4 バイト AS の相互接続などは、ソフトウェアバージョンや機種によって対応状況が異なります。

たとえば、未サポートの BGP Capability の扱いは ver.8.8 以前と ver.8.9 以降で挙動が異なり、4 バイト AS のルーターと相互接続する場合は旧バージョンで追加設定が必要になることがあります。デフォルトルート生成の仕様にもバージョン差があります。これらは公式の BGP4 FAQ と仕様値(ver.6.1 以降)で対応バージョンを確認したうえで設計することをおすすめします。確認できない機能は、本記事では断定せず公式リファレンスの参照に留めます。

確認コマンドとトラブルシューティング

状態と経路の確認コマンド

設定後の確認は、show ip bgp 系コマンドが基点です。

コマンド表示内容
show ip bgp summaryネイバー一覧と確立状態(State が ESTABLISHED か)
show ip bgp neighbor <対向IP>ネイバーの詳細
show ip bgpBGP テーブル
show ip route bgpルーティングテーブル上の BGP 経路(コード B)

show ip bgp summary でネイバーが ESTABLISHED になっていれば、セッションは確立しています。実際にルーティングテーブルへ採用された経路は show ip route bgp で確認します。

ネイバーが確立しないとき

State が ESTABLISHED にならない場合は、下位レイヤから切り分けます。

  • L3 到達性: ping <対向IP>(ループバックピアでは送信元アドレスに注意)で確認する。
  • TCP/179: 経路上の ip access-list やインターフェイスのフィルタで TCP/179 が双方向に許可されているかを確認する。
  • 設定の整合: remote-as の AS 番号、Router-ID の重複、update-source の指定を確認する。

経路が広告・受信されないとき

ネイバーが確立しているのに経路が流れない場合は、次の順で確認します。

  • 広告されない: show ip route で広告対象がルーティングテーブルに存在するかを確認し、network の CIDR 指定や redistribute を見直す。
  • 受信したのに使われない: NEXT-HOP に到達できているかを確認する。iBGP 経由では next-hop-self の設定漏れが典型原因。
  • フィルタの影響: ip prefix-listneighbor … distribute-list の方向(in / out)と内容を確認する。
  • ポリシー変更の反映: clear コマンドでルートリフレッシュを指定すると、セッションを切断せずに新しいポリシーを反映できます(公式: NEC IX-R/IX-V コマンドリファレンス https://support.necplatforms.co.jp/ix-nrv/manual/crm/cli/routing/cli_bgp.html

まとめ

NEC IX(UNIVERGE IX)の BGP は、router bgpaddress-family ipv4 unicast で設定する Cisco IOS に近い体系です。ただし network は CIDR 表記で指定し、プレフィックスリストは distribute-list で適用するなど、Cisco との差分があります。IPv6(BGP4+)には非対応で、ルートリフレクタやコミュニティは対応バージョンの確認が前提です。

  • NEC IX の BGP は router bgp と address-family ipv4 unicast で設定
  • network は CIDR 表記で指定し RT 完全一致が前提
  • Cisco と異なりプレフィックスリストは distribute-list で適用
  • IPv6(BGP4+)は非対応で IPv4 unicast のみ
  • iBGP は next-hop-self、IGP 再配送は redistribute-internal
  • ルートリフレクタやコミュニティは対応バージョンを要確認
  • 状態は show ip bgp summary、経路は show ip route bgp で確認

以上、最後までお読みいただきありがとうございました。

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この記事を書いた人

関西を拠点に活動する、現役インフラエンジニア。経験20年超。

大手通信キャリアにて、中〜大規模インフラ(ネットワーク・サーバ・クラウド・セキュリティ)の設計・構築およびプロジェクトマネジメントに従事。現場で直面した技術課題への対処や、最新の脆弱性情報への実務対応を、一次情報として発信しています。

保有資格
CCIE Lifetime Emeritus(取得から20年以上)/ VCAP-DCA / Azure Solutions Architect Expert

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