はじめに
VMware 上で Linux の仮想マシンを作成した際、「VMware Tools のインストール」 で迷ったことはないでしょうか?
昔ながらの手順と言えば、vSphere Client のメニューから「ゲスト OS へのインストール」を選択し、ISO イメージをマウントし、コマンドラインで tar ファイルを展開して Perl スクリプトを実行する……という、非常に手間の掛かる作業でした。しかも、カーネルのアップデートをするたびに再インストールが必要になることもありました。
しかし、現在はその手順は「古い」と言わざるを得ません。 現在の Linux ディストリビューションでは、OS 標準のパッケージ管理システム(apt や dnf/yum)を使って Open VM Tools をインストールするのが、VMware 社も推奨する「正攻法」となっています。
- Open VM Tools とは: 公式の VMware Tools と何が違うのか
- バージョンの選び方: Desktop 版(GUI あり)と通常版(CUI のみ)の違い
- インストール手順: Ubuntu / RHEL 系 OS での正しいコマンド
- 動作確認方法: 正しくインストールされたか確認するコマンド
Open VM Tools (OVT) とは?公式 VMware Tools との違い
Open VM Tools(OVT)は、VMware 社が開発・提供していた VMware Tools のソースコードをオープンソース化 し、Linux ディストリビューション向けに最適化したものです。 現在は、Ubuntu や CentOS(RHEL)などの主要な Linux OS の公式リポジトリに最初から含まれています。

なぜ VMware 社は Open VM Tools を推奨するのか
かつては、VMware vSphere Client のメニューから「ゲスト OS へのインストール(ISO マウント)」を行うのが一般的でした。しかし現在、VMware 社は Open VM Tools の使用を公式に推奨 しています。
その理由は、「運用管理の圧倒的な楽さ」 にあります。
- カーネル更新への追従
-
OS のアップデート(カーネル更新)があっても、Open VM Tools は OS のパッケージ管理システム(apt や yum/dnf)を通じて自動的に追従・更新されます。
昔のように「カーネルを上げたら VMware Tools が動かなくなったので、再コンパイル(再インストール)する」という手間が一切なくなります。 - 導入が簡単
-
ISO ファイルをマウントしたり、Perl スクリプトを叩いたりする必要がありません。
apt installなどのコマンド一発で完了します。
機能比較: できることはほぼ同じ
「純正じゃないと機能が足りないのでは?」と心配されることがありますが、基本的な機能に差はありません。
| 機能 | 公式 VMware Tools(ISO 版) | Open VM Tools(OVT) |
| ドライバ(vmxnet3, pvscsi 等) | 同梱 | OS カーネルに同梱 |
| 時刻同期 | 〇 | 〇 |
| ゲストOSのシャットダウン | 〇 | 〇 |
| コピペ / 解像度変更 | 〇 | 〇 (Desktop 版が必要) |
| サポート | VMware 社 | OS ベンダー + VMware 社 |

つまり、「機能は同じで、管理が楽なのが Open VM Tools」 と考えて問題ありません。
どっちを入れるべき? Desktop 版と通常版の使い分け
Open VM Tools をインストールする際、実は 2 種類のパッケージ が用意されています。 ご自身の環境(サーバーなのか、デスクトップなのか)に合わせて、正しい方を選ぶ必要があります。
パッケージの選び方と機能比較
| パッケージ名 | ① open-vm-tools (基本) | ② open-vm-tools-desktop (拡張) |
| 対象環境 | GUI のない「サーバー(CUI)」 (Web/DB サーバー、黒い画面のみ) | GUI のある「デスクトップ」 (Ubuntu Desktop / GNOME など) |
| 役割 | OS のコア機能と連携するための、 必要最低限のドライバやエージェント | 基本パッケージに加え、 ユーザー操作(UI)を補助する機能を追加。 |
| 主な機能 | ● ゲスト OS のシャットダウン/再起動 ● ホストとの時刻同期 ● IP アドレス情報の通知 ● 仮想ドライバ(vmxnet3, pvscsi 等) | 左記の全機能に加えて… ● クリップボード共有(コピペ) ● ドラッグ&ドロップ ● 画面解像度の自動調整 |



迷ったら、とりあえず open-vm-tools-desktop を入れておけば、基本機能もすべて含まれているので安心です。
インストール手順: Ubuntu / Debian 系(apt)
対象 OS: Ubuntu 20.04 / 22.04 / 24.04 LTS, Debian 10 / 11 / 12, Kali Linux など
Ubuntu や Debian では、apt コマンドを使用します。これらの OS では、インストールすると自動的にサービスが起動するため、追加の設定はほとんど不要です。
手順
まずはリポジトリの情報を最新にします。
sudo apt update環境に合わせて、以下のどちらか一方を実行してください。
- 【推奨】デスクトップ版(GUI あり)の場合
sudo apt install open-vm-tools-desktop- サーバー版(CUI のみ)の場合
sudo apt install open-vm-toolsインストール完了後、変更を確実に適用するために OS を再起動します。
sudo rebootインストール手順: RHEL / CentOS / AlmaLinux 系 (dnf/yum)
対象 OS: RHEL 8 / 9, AlmaLinux 8 / 9, Rocky Linux 8 / 9, CentOS Stream など ※ Fedora も同様の手順です。
RHEL 系では dnf(または yum)コマンドを使用します。



注意点として、RHEL 系ではインストールしただけではサービスが起動しない場合があるため、明示的に起動コマンドを実行します。
手順
環境に合わせて、以下のどちらか一方を実行してください。
- 【推奨】デスクトップ版(GUI あり)の場合
sudo dnf install open-vm-tools-desktop- サーバー版(CUI のみ)の場合
sudo dnf install open-vm-tools(※ dnf が使えない古い環境では yum に置き換えてください)
インストール直後は Open VM Tools が停止していることがあります。以下のコマンドで起動し、次回起動時も自動で動くように設定します。
sudo systemctl enable --now vmtoolsd設定を反映させるために再起動します。
sudo reboot動作確認: 正しく動いているかチェックする方法
インストールコマンドを実行してもエラーが出なければ概ね成功ですが、念のためサービスが正常に稼働しているか確認しましょう。
systemctl コマンドによるステータス確認
Linux のサービス管理コマンドを使って、Open VM Tools のプロセスが動いているかを見ます。
Ubuntu / Debian 系の場合
systemctl status open-vm-toolsRHEL / CentOS 系の場合
systemctl status vmtoolsd【成功時の表示】 以下のように緑色で active (running) と表示されていれば、正常に動作しています。
● open-vm-tools.service - Service for virtual machines hosted on VMware
Loaded: loaded (/lib/systemd/system/open-vm-tools.service; enabled; vendor preset: enabled)
Active: active (running) since Fri 2023-10-27 10:00:00 JST; 5min ago


※ もし inactive (dead) と表示される場合は、sudo systemctl start open-vm-tools (または vmtoolsd) で起動してください。
vmtoolsd -v によるバージョン確認
インストールされた Open VM Tools のバージョンを表示します。コマンドが通る=パスが通ってインストールされていることの証明になります。
vmtoolsd -v【実行結果の例】
VMware Tools daemon, version 11.3.0.29534 (build-18090558)まとめ
VMware 環境の Linux 仮想マシンにおいて、Open VM Tools(OVT)は「標準のツール」です。
- 昔の手順(ISO マウント)は不要
-
パッケージ管理(apt/dnf)で完結させる。
- パッケージ選びが重要
-
- CUI(サーバー)なら
open-vm-tools - GUI(デスクトップ)なら
open-vm-tools-desktop
- CUI(サーバー)なら
- 管理が楽
-
OS アップデートに合わせて自動更新される。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。


