インスタントクローンとは
Horizon 7 ではリンククローンが主流でしたが、Hozion 2012 からリンククローンは廃止され、後継機能としてインスタントクローンが提供されるようになりました。
リンククローンとインスタントクローンの主な違いは、以下のとおりです。
項目 | リンククローン | インスタントクローン | |
構造 | レプリカとの差分ディスクで構成 | ペアレントとの差分メモリ・ディスクで構成 | |
展開時の挙動 | カスタマイズ | Quickprep or Sysprep | Cloneprep |
再起動 | カスタマイズのための再起動 | 再起動しない | |
リソース消費 | 再起動によるバーストあり | 再起動によるバーストなし | |
リソース消費 | CPU | フルクローンと同等 | フルクローンと同等+ペアレント VM 分 |
メモリ | TPS 有効で重複排除 | ペアレント VM との差分消費 | |
ディスク | ペアレント VM+ペアレント VM との差分 | レプリカ VM+ペアレントVM+ペアレントVMとの差分 | |
ログオフ時の挙動 | ディスク差分 | 破棄する/しないを選択可能 | 常に破棄する |
仮想マシン | 削除されず使いまわされる | 削除され新規作成される | |
特徴 | Persistent Disk | 対応 | 未対応 |
展開速度 | 遅い | 早い | |
主な制約 | 非プロファイル領域が破棄される | 非プロファイル領域が破棄される |
インスタントクローンの特徴
リンククローンはマスタ OS のスナップショットからレプリカ VM(OS などの共通部分)を作成し、個人の設定や変更を差分 Disk に持つ方式ですが、インスタントクローンでは、マスタ OS のスナップショットから テンプレート VM を作成し、これをコピーした レプリカ VM からペアレント VM を作成します。ペアレントVM は ESXi ホストごとに作成され、ペアレント VM をクローンして VDI を展開します。
インスタントクローンでは、この ペアレント VM からクローンする際、実行中のペアレント VM のメモリ内クローンを行うことで仮想マシンを迅速に展開します。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/image-17.png)
この動作のため、ペアレント VM は以下のように常にサスペンド状態となっています。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200517210429.png)
テンプレート VM、レプリカ VM は Pool で指定したマスタ OS のスナップショットごとに 1 つ作成されます。例えば、プールが 2 つあり、それぞれが別のマスタ OS のスナップショットを指定していた場合、テンプレート VM とレプリカ VM は2つずつ作成されます。
また、VDI はユーザーログオフ後に削除され、更新後のレプリカから再作成されます。
インスタントクローンの構築手順
Horizon 7 を使用したインスタントクローンの構築手順です。
事前準備
Download VMware Horizon からソフトウェアをダウンロードします。
本記事では、以下のバージョンを使用します。
- ESXi と vCSA(VMware vCenter Server Appliance)
- VMware-VMvisor-Installer-7.0.0-15843807.x86_64
- VMware-VCSA-all-7.0.0-15952498
- Connection Server
- VMware-Horizon-Connection-Server-x86_64-7.6.0-9823717
- マスター OS
- VMware-Horizon-Agent-x86_64-7.6.0-9539447.exe
マスター OS の作成
仮想デスクトップ展開用のマスター OS として Windows10 を作成します。
Windows10 上で View Agent のインストーラ(VMware-Horizon-Agent-x86_64-7.6.0-9539447.exe)を実行し、「VMware Horizon Instant Clone Agent」をインストールします。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200516232730.png)
インストール後、マスター OS の「スナップショット」を取得しておきます。
ドメイン管理者の設定
View Administrator の管理画面から、インスタントクローンのドメイン管理者の追加を行います。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200516232828.png)
インスタントクローンのデスクトッププールを作成します。なお、Composer は不要です。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200516232857.png)
以上で、サーバ環境の設定は完了です。
VMware Horizon View Client 接続
VMware Horizon View Client で接続先サーバに「VMware View Connection Server」のホスト名を入力して「接続」すると、仮想デスクトップにアクセスできます。
ログオフすると、仮想デスクトップが削除され、再プロビジョニングされます。
イメージの更新
リンククローンでは、再構成(リコンポーズ)でレプリカ VM を入れ替えますが、インスタントクローンでは、イメージプッシュという機能で、テンプレート VM、レプリカ VM、ペアレント VM を更新します。
仮想デスクトップはログオフ後に即削除され、その際に更新イメージを使って再作成されます。
このため、パッチ適用等のアップデートが簡単にできます。
イメージプッシュをするには、プールを選択し「イメージをプッシュ」をクリックします。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200517185344.png)
更新するスナップショットを選択します。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200517185356.png)
更新するスケジュールを設定します。緊急の際はユーザーを強制ログオフさせることも可能です。
![](https://mytech-blog.com/wp-content/uploads/2022/06/20200517185404.png)
以上
はじめに VMware Horizon View 7 を使って、仮想デスクトップ環境を構築する簡易手順を紹介します。なお、Horizon 8(2006)では、View Composer は廃止されたので、インストールは不要となります[…]