はじめに
この記事では、NetApp の高可用性(HA)クラスタ環境に構築されたシステムの Data ONTAP アップデート手順について説明します。HA クラスタは、一つのストレージコントローラ(Filer)が障害やメンテナンスで停止した場合に、もう一つのコントローラがその役割を引き継ぐことで、システム全体のダウンタイムを最小限に抑える構成です。FAS3210A クラスタモデルでのソフトウェアアップデート例となります。
Data ONTAP のダウンロード
まず、次の URL から最新の Data ONTAP ソフトウェアをダウンロードします: http://support.netapp.com/NOW/cgi-bin/software/
ローカル Web サーバーの設定
ダウンロードしたソフトウェアを Filer にアップロードするために、ローカルの Web サーバーを設定します。この例では、Mongoose を使用します:
http://code.google.com/p/mongoose/
Mongooseでは、c:\ がデフォルトの Web Root folder になります。
Filer への Data ONTAP ダウンロード
software get
コマンドを使用して、Data ONTAP をダウンロードします:
head1> software get http://192.168.1.100/736P5_setup_q.exe 736P5_setup_q.exe
正常にダウンロードされたかを確認します:
head1> software list
736P5_setup_q.exe
Filer の Data ONTAP アップデート
現在のバージョンを確認します:
head1> sysconfig
クラスタ状態も確認します:
head1> cf status
Cluster enabled, head2 is up.
次に、ディスクのバックグラウンドアップデートを無効にします:
head1> options raid.background_disk_fw_update.enable off
この後、software update
コマンドを使用して、Data ONTAP をアップデートします:
head1> software update 736P5_setup_q.exe -r
アップデートが成功した後、バージョンが正しく更新されたことを確認します:
head1> version -b
クラスタの Takeover と Giveback
このプロセスでは、一つのストレージコントローラ(Filer)が障害やメンテナンスなどで停止すると、もう一つのコントローラがその役割を引き継ぐ “Takeover” という操作を行います。その後、メンテナンスや障害から復旧したコントローラが、一時的に役割を引き継いでいたもう一つのコントローラから元の役割を取り戻す “Giveback” という操作も行います。
クラスタの一部を takeover します:
head2> cf takeover
Takeover が正常に行われたことを確認します:
head2(takeover)> cf status
次に、giveback を行います:
head2(takeover)> cf giveback
再度、クラスタの状態を確認します:
head2> cf status
最終的に、Data ONTAP が正しく更新されたことを確認します:
head1> sysconfig
以上、Data ONTAP のアップデート手順の全体像です。手順の詳細は、各ソフトウェアとシステムのバージョン、環境により異なる可能性があるため、各操作前に必ず公式のマニュアルやドキュメンテーションを参照することを推奨します。
以上