はじめに
ネットワークの勉強を始めて、最初にぶつかる大きな壁。それが「サブネットマスクの計算」ではないでしょうか?
- 「IP アドレスを2進数に変換して…」
- 「論理積(AND)をとって…」
参考書を開いてこんな解説が出てきた瞬間、そっと本を閉じた経験ないでしょうか。安心してください。現場のエンジニアであっても、いちいち頭の中で2進数の計算をしている人は稀だと思います。
大切なのは、複雑な計算ができることではなく、「IP アドレスとサブネットマスクが、どういう関係なのか」というイメージを持つことです。
まずは、「視覚的に理解できるサブネット計算機」をさわってみてください。スライダーを左右に動かすだけで、ネットワークの範囲がどう変化するか、直感的にわかります。
いかがでしたか?
「/24」を「/25」に動かすと、使えるホストの数が半分になったのが分かったと思います。
この「数字が変わると、ネットワークの広さが変わる」という感覚さえ掴んでおけば大丈夫です。

本記事では、このツールで起きている「裏側の仕組み」を、難しい数式を一切使わずに解説します。
- IPアドレスとサブネットマスクの「本当の役割」(住所と区画)
- よく見る「/24」などの「CIDR 表記」の意味
- 【ツール紹介】スライダー操作でサブネットを簡単に計算できる計算機
IP アドレスは「住所」、サブネットマスクは「区画の広さ」
IP アドレスとサブネットマスクの関係は、よく「住所」に例えられます。 まずは、このイメージを使って、それぞれの役割を整理します
IP アドレスの正体(ネットワーク部とホスト部)
IP アドレス(例:192.168.1.10)は、単なる数字の羅列ではありません。 実は、一つのアドレスの中で「グループを表す部分」と「個人を表す部分」の 2 つに分かれています。


- ネットワーク部(グループ)
-
現実世界でいう「〇〇県〇〇市」にあたる部分です。 同じネットワークに所属するコンピューター同士は、この部分がすべて同じ数字になります。
- ホスト部(個人)
-
現実世界でいう「〇〇番地」にあたる部分です。 そのネットワーク内で、個々のコンピューターを識別するための固有の番号です。



つまり、IP アドレスとは「どのエリア(ネットワーク部)の、何番目の場所(ホスト部)か」を表す情報だと言えます。
どこで区切るか決めるのが「サブネットマスク」
では、192.168.1.10 という数字の、「どこまでが市(ネットワーク部)」で、「どこからが番地(ホスト部)」なのでしょうか?
IP アドレスの数字を見ただけでは、その区切り位置はわかりません。 そこで登場するのが、区切り位置を指定するためのルールブック、「サブネットマスク」です。
サブネットマスク(例:255.255.255.0)は、以下のようなルールを持っています。
- 255 の部分: ここまでは「ネットワーク部(変えてはいけない部分)」ですよ。
- 0 の部分: ここからは「ホスト部(自由に使っていい部分)」ですよ。
例えば、サブネットマスクが 255.255.255.0 の場合、 IP アドレスの前半 3 つ(192.168.1)までがネットワーク部となり、最後の 1 つ(.10)がホスト部として扱われます。





この「区切り線」の位置を変えることで、ネットワークの大きさ(ホストの数)を調整するのが、サブネット設計の基本となります。
よく見る「/24」や「CIDR」って結局なに?
ネットワークの設定画面や設計書で、192.168.1.1/24 のような表記を見かけたことがあると思います。 この末尾についている /24 などの表記について解説します。
255…と書くのが面倒だから「/(スラッシュ)」を使う
サブネットマスクを毎回 255.255.255.0 と書くのは、長くて入力も大変ですし、読み間違いの原因にもなります。 そこで登場するのが、「CIDR(サイダー)表記」と呼ばれる短縮記号です。
これは、「先頭から何ビット目までがネットワーク部(共通部分)か」を数字で表したものです。
- 255.255.255.0
-
これはコンピュータの中では「先頭から 24個 のビットが 1(有効)」という意味になります。
- だから「/24」と書く
-
「先頭から 24個 分がネットワーク部ですよ」という意味で、IPアドレスの後ろに
/24と付け足します。



つまり、255.255.255.0 と /24 は、書き方が違うだけで全く同じ意味です。現場では、短くて書きやすい /24 の方が圧倒的に多く使われます。
数字が増えると「部屋」が減る
「/24 が /25 に増えたら、使えるネットワークも広くなるのでは?」と思ってしまいがちですが、実は逆です。
CIDR の数字は、「区切り線(壁)の位置」を表していると考えてください。
- 数字が増える(/24 → /25)
-
「区切り線」が右にズレます。すると、ネットワーク部(変更不可のエリア)が広がり、その分だけホスト部(自由に使える部屋)が狭くなります。
- 数字が減る(/24 → /23)
-
「区切り線」が左にズレます。すると、ホスト部が広がり、より多くのコンピューターを接続できるようになります。


- /24(標準): 最も一般的。254 個のホストが使えます。
- /25(分割): 部屋を半分に区切った状態。126 個のホストが使えます。
- /30(最小): ギリギリまで壁が迫った状態。使えるのは 2 個だけ(ルーター同士の接続など)です。



「数字が大きくなるほど、部屋が狭くなる」というイメージを持つと分かりやすかもしれません。
複雑な計算はツールに、頻出パターンは表で確認
ここまで仕組みについて解説してきましたが、実際の現場では「正確性」が最優先です。 些細な計算ミスが通信障害に繋がるリスクを避けるためにも、冒頭で紹介したツールを活用してください。
ただ、実務で頻繁に登場するいくつかのパターン(/24 や /30 など)は、覚えておくと設計や会話がスムーズになります。 最後に、エンジニアが実務でよく使うサブネットマスクを一覧にまとめました。ブックマーク代わりにご活用ください。
よく使うサブネットマスク早見表
| CIDR | サブネットマスク | ホスト数 | 主な用途・備考 |
| /32 | 255.255.255.255 | 1 | ループバックアドレス、特定のホスト指定 |
| /30 | 255.255.255.252 | 2 | ルーター間の P2P 接続(WAN) |
| /29 | 255.255.255.248 | 6 | 小規模な公開サーバーセグメントなど |
| /28 | 255.255.255.240 | 14 | 部門ごとの小規模 LAN |
| /27 | 255.255.255.224 | 30 | 部署単位のネットワーク |
| /26 | 255.255.255.192 | 62 | 中規模なフロア LAN |
| /25 | 255.255.255.128 | 126 | /24 を半分に分割する場合 |
| /24 | 255.255.255.0 | 254 | 最も一般的な LAN 環境 |
| /16 | 255.255.0.0 | 65,534 | 大規模な拠点・VPC など |
| /8 | 255.0.0.0 | 1,677万 | クラス A プライベートネットワーク |
まとめ
本記事では、IPアドレスとサブネットマスクの仕組みについて解説しました。
- IPアドレスは「住所」、サブネットマスクは「区切り線」 である。
- 「/24」などの数字 は、区切り線の位置を表している。
- 計算はツールに任せる。 人間は「仕組み」を理解していれば十分
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。



