はじめに
仕事をしていて、上司や同僚からこんな風に言われたことはありませんか?
で、結局何が言いたいの?
ドキッとした方、安心してください。 説明が下手なのは、あなたに能力がないからでも、センスがないからでもありません。ただ「やり方」を知らないだけなのです。
今回ご紹介する本は、『説明が上手い人がやっていることを1冊にまとめてみた』(ハック大学ぺそ 著 / アスコム)
著者は外資系金融機関に勤めながら、ビジネス系 YouTuber としても活躍する「説明のプロ」です。 この本を読むと、「説明上手」になることは、空を飛ぶような魔法ではなく、「誰でも身につけられる技術」だということがわかります。
大原則: 説明は「自分都合」ではなく「相手のメリット」
説明が下手な人の最大の特徴。 それは、「自分の都合で必死になっている」ことです。
- 「怒られたくないから、言い訳をしよう」
- 「賢く見られたいから、難しい言葉を使おう」
- 「せっかく準備したんだから、全部話したい」
これらは全て「自分ファースト」の思考です。 しかし、説明上手な人は常に「相手ファースト」で考えます。
相手が何を求めているか(メリット)に合わせて、話し方を「カスタマイズ」しているのです。 本書では、相手を大きく3つのタイプに分けて、それぞれの攻略法を解説しています。
| 相手 | 求められるもの | 攻略キーワード |
|---|---|---|
| 上司 | 判断材料・安心 | 事実 解釈 |
| 部下 | 納得感・動機 | 背景・目的 |
| お客様 | 興味・感動 | エンタメ・平易さ |

「準備したから全部話したい」は、昔の私もそうでした。。 技術的なトラブルシューティングとか、苦労して解決した時ほど、その過程を全部説明したくなっちゃうんですよね。でも相手からすれば「で、直ったの?」だけが重要だったりして……。相手ごとの「正解」が違うんだと気づくのに時間がかかりました。
【対上司】「事実」と「解釈」を混ぜるな危険
上司への報告で、最もやってはいけないこと。 それは、「事実と解釈を混ぜて報告すること」です。
例えば、プロジェクトの進捗を聞かれた時に、こんな風に答えていませんか?



ダメな報告 「例のプロジェクトですが、順調だと思います! 先方も前向きな感じでしたし、たぶん契約できる気がします。」
これは上司からすると「恐怖」でしかありません。 なぜなら、契約書を交わしたという「事実」はまだないのに、部下の「順調だ」という「解釈(願望)」だけで判断を迫られるからです。もしこの状態で「売上見込み」に計上して失敗したら、大事故になります。
怒られないための黄金フォーマット
上司への報告は、必ず以下の順序で行うのが鉄則です。
- 事実(Fact): 良いことも悪いことも、数字や状態で「ありのまま」伝える。
- 解釈(Opinion): それに対して自分はどう思うか、どう対策するか。



良い報告 「現状、まだ契約には至っておりません(事実) ただ、先方の担当者の反応は良く、決裁権を持つ上司へのプレゼン機会をいただけました。そのため、来月中には契約できる可能性が高いと考えています(解釈)」
説得力を高める「根拠」の優先順位
さらに、あなたの「解釈」に説得力を持たせるには、以下の優先順位で根拠を用意しておくとベターです。
- 数字・データ(過去の実績、他社の事例など)
- 仮説(類似の事例からの推測)
- 経験談(過去の自分の体験)
「なんとなく勘です」と言わずに、せめて「仮説」まで持っていく。これだけで上司からの評価は「考えているな」に変わります。



これも覚えがあります。システム障害の報告とかで「たぶん直ったと思います(解釈)」って報告した5分後にまたアラートが鳴った時の絶望感……。 「今はエラーが出ていません(事実)ただ、再発の可能性もあるため監視を続けます(解釈)」こう言うのが正解なんですね。
【対 部下】「とにかくやれ」はロボットを生む
部下に指示を出すとき、「つべこべ言わず、とにかくこれをやっておいて」と言っていませんか? これを続けると、言われたことしかできない「指示待ちロボット」が出来上がります。
例えば、「大事なお客様にワインを届けて」とだけ指示したとします。 もし、そのお客様がお酒を飲めない方だったらどうなるでしょうか? 指示待ち部下は、「ワインを届けること」自体がミッションだと思い込んでいるので、相手が困惑していても、無理やりワインを置いて帰ってくるかもしれません。
「何をするか」より「なぜやるか(目的)」
部下への説明で最も重要なのは、「目的(Why)」の共有です。
今日はお客様の結婚記念日だから、喜んでもらいたいんだ。だからワインを届けてほしい。もし苦手そうなら、別のものに変えてもいいからね
このように「目的(=お客様に喜んでもらうこと)」を共有していれば、部下は現場で「お酒が苦手なら、代わりにお花にしましょうか?」と臨機応変な対応(=変化への対応)ができるようになります。



例えば「この手順書作っといて」とだけ頼むと、専門用語だらけの難解なドキュメントが上がってきてしまう。「これは新入社員が一人で作業できるようにしたいから作ってほしい」と目的(ターゲット)まで伝えていれば、もっとスクショを入れたり、丁寧に書いてくれたはずなんですよね。 「言わなくてもわかるだろう」は、指示する側の怠慢だとあらためて思いました。
【対 お客様】結論ファーストは NG?「エンタメ」で惹きつける
ビジネス書では「結論から話せ(PREP 法)」が鉄則とされていますが、これがお客さま(セールス・プレゼン)相手だと裏目に出ることがあります。 ミステリー映画の冒頭で「犯人はこいつです!」とネタバレされたら、見る気が失せますよね?
お客様への説明は「エンターテインメント」であるべきです。 いきなり「この商品はすごいです!」と結論を押し付けるのではなく、相手の興味を惹きつける「煽り(フック)」が必要です。



結論ファースト 「この薬は、中国の〇〇という成分が入っているので肩こりに効きます」



エンタメ(煽り) 「皆さん、肩こり辛くないですか? 実は、飲むだけで肩こりが治る…そんな常識外れの方法があるとしたら、知りたいですか?」
専門用語を使う人は「自信がない人」
また、やってしまいがちなのが、専門用語を多用した「難解な説明」や、文字がびっしり詰まった「分厚い資料」です。 これは「すごい人だと思われたい」「ナメられたくない」という、話し手の自信のなさの表れです。
説明のうまい人は、「誰にでもわかる言葉」を使います。 難しい言葉で相手を煙に巻くのではなく、小学生でもわかる言葉で、紙芝居のようにシンプルな資料で説明する。 それが相手への「最大の配慮」であり、信頼獲得への近道なのです。



私がそうなのですが、エンジニアって、「正確さ」を大事にするあまり、例外処理とかスペック詳細とか、全部書かないと不安になっちゃう人も多いと思います。お客様が知りたいのは「技術的な仕様」じゃなくて、「それで課題が解決するのか?」ということです。これを専門用語使わずにわかりやすく、説明することが非常に大切です。
まとめ
本記事では、説明上手な人が実践している「相手ごとの攻略法」を紹介しました。 重要なのは、「誰にでも通じる完璧な説明」は存在しないということです。
説明上手な人は、まるでカメレオンのように、相手に合わせて話し方をガラリと変えています。
- 上司には … ビジネスライクに「事実」ファーストで安心させる。
- 部下には … 教育者のように「目的(Why)」を共有して動機づける。
- お客様には … エンターテイナーとして「感情」を動かし、興味を惹く。
共通しているのは、自分の言いたいこと(自分ファースト)ではなく、目の前の相手が何を求めているか(相手ファースト)を徹底して考えている点です。
この視点があれば、説明力は向上すると説いています。私もまずは目の前の相手を「観察」することから始めていきたいと思います。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。










