はじめに
ロードバランサーは、ウェブサイトやアプリケーションのトラフィックを分散させ、サーバーへの負荷を軽減する重要な役割を果たします。適切な配置デザインを選択することで、パフォーマンスの向上や信頼性の確保、セキュリティの強化につながります。
本記事では、ロードバランサーの主要な配置デザイン(ワンアーム、ツーアーム)について、それぞれの特徴やメリット、デメリットを解説します。
ワンアームデザイン
ワンアームデザインでは、ロードバランサーは単一のネットワークセグメントに接続されます。このデザインでは、インターネットからのトラフィックとバックエンドサーバー間のトラフィックが同じネットワークセグメントを共有することになりますが、VLAN を使用することでセグメントを分けることが可能です。SNAT(Source Network Address Translation)が使用され、クライアントの IP アドレスがロードバランサーの IP アドレスに変換されます。
メリット
- ネットワーク設計がシンプルで、管理が容易。
- 負荷分散が不要な通信がロードバランサーを経由しないため、全体的なネットワークパフォーマンスへの影響が少ない。
- 柔軟な設計や変更が容易。
デメリット
- クライアントとサーバーが同一のネットワークセグメントに存在する場合、セキュリティ上のリスクが高まる可能性がある。[1]ただし、VLAN を使用してセグメントを分けることで、このリスクを軽減できる。
ツーアームデザイン
ツーアームデザインでは、ロードバランサーは 2 つの異なるネットワークセグメントに接続されます。通常、一方のインターフェイスはインターネットまたは外部ネットワークに接続し、もう一方のインターフェイスは内部ネットワークやバックエンドサーバーに接続します。これにより、インバウンドとアウトバウンドのトラフィックが分離され、セキュリティやパフォーマンスが向上します。
メリット
- クライアントとサーバーが異なるネットワークセグメントに存在するため、セキュリティが向上する。
- より高度な負荷分散機能やネットワークトポロジーに対応可能。
デメリット
- 全ての通信がロードバランサーを通過するため、全体的なネットワークパフォーマンスが低下する可能性がある。
- 負荷分散が不要な通信もロードバランサーを経由することで、柔軟な設計や変更が難しくなることがある。
- ロードバランサーが複数のネットワークセグメントにまたがるため、ネットワーク設計や管理が複雑になる。
まとめ
ワンアームデザインはシンプルで管理が容易な一方で、セキュリティ上のリスクが高まる可能性があることに留意する必要があります。一方、ツーアームデザインはセキュリティが向上し、高度な負荷分散機能やネットワークトポロジーに対応可能ですが、全体的なネットワークパフォーマンスが低下する可能性や、ネットワーク設計や管理の複雑さが増すことがあります。
適切なデザインを選択することで、パフォーマンス、信頼性、セキュリティの向上が期待できます。組織のニーズやリソースに応じて、最適なロードバランサーの配置デザインを選択し、効果的な負荷分散を実現してください。
以上
脚注
↑1 | ただし、VLAN を使用してセグメントを分けることで、このリスクを軽減できる。 |
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