はじめに
「一生懸命話しているのに、相手に伝わらない」 「上司から『で、結論は何?』とよく言われる」
ビジネスの現場で、こんな悔しい思いをしたことはありませんか? 説明がうまくいかないのは、あなたの頭が悪いからでも、話し方が下手だからでもありません。単純に「説明の組み立て方(型)」を知らないだけなのです。
今回は、そんな悩みを解決する実践ガイド、『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』(犬塚 壮志 著) を紹介します。 元・予備校の人気講師が教える、「誰でも・すぐに・確実に」伝わる説明のノウハウが詰まった一冊です。
重要性: 説明力は「信頼」と「成果」に直結する
ビジネスにおいて、「説明力」は単なる会話スキルではありません。それは、成果を出すための最強のビジネススキルです。
本書では、説明力がないと以下のような弊害が起きると指摘しています。
- プロジェクトの失敗: 方向性がズレてしまい、ゴールに辿り着けない。
- リーダーシップの欠如: ビジョンが伝わらず、組織が動かない。
- 信頼の低下: 「何を言っているかわからない人」というレッテルを貼られる。
逆に言えば、説明力を磨くことは、周囲からの信頼を勝ち取り、トラブルを未然に防ぐ「防波堤」を築くことと同じです。

エンジニアの現場でも、トラブルシューティングや仕様の説明など、実は「コードを書く時間」以上に「説明する時間」が重要だったりします。 説明がうまいと、相手は「自分の意図を理解してくれた」と安心しますよね。これが「信頼関係」の正体だと考えます。説明力は、才能ではなく「スキル」として磨くべきものだと思います。
技術: 3大フレームワーク(CRF・SDS・PREP)
本書の魅力は、状況に合わせて使い分けられる「説明の型」が網羅されている点です。 中でも、特に汎用性が高く、明日から使える 3つの基本テクニック を整理しました。
| テクニック | 構成の順番 | 特徴・メリット | おすすめの使用シーン |
|---|---|---|---|
| CRF 法 | 結論(Conclusion) 理由(Reason) 事実(Fact) | シンプルかつ強力 短時間で納得させるのに向いている。 | 決断を迫る時 短い提案、エレベーターピッチ |
| SDS 法 | 概要(Summary) 詳細 (Detail) まとめ (Summary) | 最初と最後で要点を繰り返す。 記憶に定着しやすい。 | ニュース、講義、報告会 |
| PREP 法 | 要点(Point) 理由(Reason) 具体例(Example) 要点(Point) | 論理的で説得力が高い。 具体例があるためイメージしやすい。 | 会議での提案、ブログ執筆 |



私は普段、PREP 法(プレップ法)を意識することが多いですが、状況によっては「CRF 法」のような、事実を突きつけるシンプルな伝え方が有効な場面もありますよね。 重要なのは、「今はどの型を使うべきか?」を瞬時に判断すること。この方を頭の片隅に入れておけば「話し方の迷い」がなくなると思います。
理論: 脳の仕組みを利用する「認知心理学」のアプローチ
なぜ、これらの「型」は効果的なのでしょうか? 本書の面白いところは、それを精神論ではなく、「認知心理学」の観点から解説している点です。
例えば、SDS 法(まとめ→詳細→まとめ)は、人間の脳の以下の特性を利用しています。
- 初頭効果: 人は「最初の情報」を記憶しやすい(第一印象)
- 親近効果 (新規効果): 人は「最後の情報」も記憶しやすい。
つまり、「最初と最後に重要なことを言う」というのは、脳の仕組み上、最も理にかなった伝え方なのです。



「なぜその伝え方がいいのか?」が、心理学の理論で裏付けされていると非常に腹落ちしますね(理系としては特に) 情報をただ並べるのではなく、「相手の脳がどう記憶するか」を逆算して構成を組み立てる。これこそが、プロの説明テクニックなのだと感銘を受けました。
実践: 現場で使える「言葉選び」と「対応力」
理論だけでなく、本書には現場ですぐに使える実践的なアドバイスもあります。
- 言葉選び: 専門用語を避け、相手のレベルに合わせた言葉を使う。
- 対応力: プレゼン中に反論された時の切り返し方や、興味を引くための「フック」の入れ方
これらは、教科書的な説明だけでなく、生身の人間相手のコミュニケーションで必須となるスキルです。



理論を知っていても、現場では予期せぬ質問が来たりして焦るものですよね。 本書では、そういった「ライブ感」のある場面での対応策まで書かれています。
まとめ
『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』を読んでわかったことは、説明力とはセンスではなく、「パーツを組み立てる技術」だということです。
- ビジネスの信頼は「説明力」から生まれる。
- 「CRF」「SDS」「PREP」の3つの型を使い分ける。
- 脳の仕組み(心理学)を利用して、記憶に残す。
「自分は口下手だ」と諦める前に、まずはこの「型」に言葉をあてはめてみてください。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。









