『説明組み立て図鑑』で学んだこと

はじめに

犬塚 壮志氏の『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』は説明力を飛躍的に向上させるための実践的なガイドブックです。ビジネスの場でも、日常でも、相手に伝わる説明のコツが学べます。今回はこの本で読んで得た学びを紹介いたします。

説明力の重要性

ビジネスの場において、説明ができないと成果を上げるのが難しくなります。上司や同僚に自分の考えを伝えるため、プレゼンを成功させるため、そしてトラブルを未然に防ぐためには、説明力が求められます。本書を読むことで、そういった日常の課題をクリアにするヒントを得ることができます。

説明力は、ビジネスの世界だけでなく、私たちの日常生活においても不可欠なスキルとなっています。

  • プロジェクトの成功

    • ビジネスの場では、チームでのプロジェクトが多く進行しています。自分の考えや提案を他のメンバーに明確に伝えられなければ、プロジェクトの方向性がずれてしまい、目的を達成するのが難しくなります。

  • リーダーシップの質

    • リーダーとしての立場になればなるほど、自分のビジョンや方針を部下に伝える説明力が求められます。明確な指示やビジョンの共有ができなければ、組織全体が一つの方向に動くのが難しくなります。

  • 信頼関係の構築

    • 説明力があると、相手は自分の考えや意図を理解しやすくなります。これにより、相手との信頼関係を築くことができ、長期的なビジネス関係の構築や深化につながります。

  • 問題解決能力の向上

    • トラブルや課題が発生した際、その原因や解決策を明確に説明できる能力は、問題を迅速に解決するために不可欠です。説明力があると、同じ問題が繰り返し発生するのを防ぐこともできます。

『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』を通して、これらのビジネスシーンにおける説明力の重要性を深く理解し、具体的なテクニックや方法を学ぶことができます。


主な説明のテクニック

主な説明のテクニック
CR4 法:結論、理由、事実の順に説明する方法。
SDS 法:概要、詳細、まとめの順で情報を伝える方法。
PREP 法:結論、理由、具体例、再度の結論の順で情報を伝える方法。
説明をする際のテクニックはさまざまですが、本書では特に効果的な3つの方法、CR4 法、SDS 法、PREP 法を紹介しています。それぞれの特徴や使用シーンを次のとおりです。
方式特徴使用シーン
CR4 法
  • シンプルで簡潔に主要なポイントを伝える
  • 相手の注意を引きやすく、迅速な理解を促進する
  • 短い時間でのアピールや提案が必要な時
  • 決断を迫られる場面での効果的なコミュニケーション
SDS 法
  • 情報を階層的に整理し、内容を深く理解してもらう
  • 重要な情報を強調し、覚えてもらいやすくする
  • 複雑な情報やデータを伝える場面
  • レポートや資料作成時の情報の構造化
PREP 法
  • 論点を明確にし、具体例で説明の信頼性を高める
  • 最初と最後に結論で情報を強調し、記憶に残りやすくする
  • 会議やプレゼンでの議論や提案
  • 複数のステークホルダーに対する情報の伝達

これらのテクニックは、さまざまなビジネスシーンでのコミュニケーションをスムーズにし、相手に情報を効果的に伝えるためのツールとして非常に有効です。本書を通して、それぞれのテクニックの詳細や実際の使用例を学ぶことができます。


認知心理学の活用

SDS 法は、人が情報を記憶するときに効果的な「初頭効果」と「新規効果」を利用しています。これは、人が情報の最初と最後の部分を特によく覚えるという認知心理学の原理を基にしています。本書ではこのような心理学の知識も活用しながら、効果的な説明の方法を紹介しています。

認知心理学は、私たちが情報をどのように処理し、理解し、記憶するかに関する学問です。その理論をうまく使えば、人々に情報を伝える時の効果を最大化することができます。

特に SDS 法では以下のような認知心理学の理論が活用されています:

  • 初頭効果

    • 人々は一連の情報の最初の部分を記憶しやすいという現象です。SDS 法の「概要」部分で重要なポイントを強調することで、相手にその情報の全体像を最初に印象づけ、記憶に残りやすくします。

  • 新規効果

    • 情報の最後の部分もまた、記憶しやすいとされる現象です。SDS 法の「まとめ」部分で再び重要なポイントを触れることで、情報の終わりに再度印象を強く残すことができます。

さらに、認知心理学は情報の整理やチャンキング(情報のまとめ方)など、多くの理論やテクニックを提供しています。これらの理論を理解して、日常のコミュニケーションやビジネスの場で活用することで、効果的な説明やプレゼンを行うことができるようになります。


実践的なアドバイス

理論だけでなく、具体的なシチュエーションでの実例や、どのような言葉を選ぶべきか、相手の反応にどう対応するかなど、実際の現場で役立つアドバイスが満載です。特に、プレゼンや会議での使用例は、多くのビジネスパーソンにとって非常に価値がある内容となっています。

理論だけでは、現場でのコミュニケーションはうまくいかないことも少なくありません。それを踏まえ、本書では実際のシチュエーションでの具体的なアドバイスやヒントを提供しています。

  • 具体的なシチュエーションでの実例

    • 例えば、クライアントとの商談やチームミーティング、新しいプロジェクトの提案など、様々なビジネスシチュエーションでの具体的な対応例を取り上げています。読者はこれらの例を参考に、自分の状況に合わせてテクニックを適用することができます。

  • 適切な言葉の選び方

    • 言葉一つで相手の印象や理解が変わることもあります。本書では、伝えたい内容を正確に、かつ相手にとってわかりやすい形で伝えるための言葉の選び方を紹介しています。

  • 相手の反応への対応法

    • 説明やプレゼン中、相手が疑問に思うことや反論することは少なくありません。そういった場面で冷静に、そして有効に対応するための方法を学べます。

  • プレゼンや会議での使用例

    • プレゼンや会議はビジネスの重要な場面の一つです。本書では、これらの場面での効果的な説明の方法や、聴衆の興味を引きつけるテクニック、また、意見のやりとりをスムーズに進めるためのアドバイスなどを詳しく解説しています。

結果として、この本は単なる理論だけでなく、日常の業務で直面する様々なシチュエーションに対して、具体的で実践的なアドバイスを提供しているのが特長です。


以上、『あてはめるだけで“すぐ”伝わる 説明組み立て図鑑』からの学びを簡潔にまとめました。ご参考になれば幸いです。